NetflixやDisney+は、今や世界中で利用される動画配信サービスになりました。スマートフォンやテレビで当たり前のように動画を再生できますが、その裏側では膨大なデータ処理やアクセス管理が行われています。そして、その基盤を支える存在としてAWSの名前がよく挙がります。NetflixはなぜAWSへ移行したのか。Disney+はどのように活用しているのか。本記事では両サービスの事例をたどりながら、動画配信プラットフォームの舞台裏を整理していきます。
NetflixやDisney+は、私たちが再生ボタンを押した瞬間に動画が始まることを当たり前に見せています。しかし、その裏側では膨大なデータとアクセスを処理するための仕組みが動いています。AWSはその中心を支える存在のひとつとして、多くの動画配信サービスに利用されています。
NetflixやDisney+を支えるAWSの役割
動画配信サービスの裏側は想像以上に大規模
NetflixやDisney+は単に動画ファイルを保管しているだけではありません。
映画やドラマ、アニメ、ドキュメンタリーなど膨大なコンテンツを管理しながら、世界中の利用者へ安定して届け続けています。
例えば新作シリーズの配信開始日には、短時間で数百万人規模のアクセスが集中することがあります。スポーツ中継や話題作の配信では、その瞬間だけアクセス量が何倍にも跳ね上がることも珍しくありません。
一般的なWebサイトであれば閲覧ページを表示するだけで済みますが、動画配信サービスは大容量の映像データを途切れなく届け続ける必要があります。
そのため、
- 動画データの保存
- 映像変換
- 配信
- 視聴履歴管理
- レコメンド
- 課金処理
といった仕組みが同時に動いています。
視聴者からは見えませんが、動画配信サービスは巨大なシステムの集合体として運営されています。
視聴者が意識しない場所でAWSが動いている
NetflixやDisney+を利用していても、視聴者がAWSを意識する場面はほとんどありません。
実際には動画が再生されるまでに多くのAWSサービスが利用されています。
たとえば、
- 動画データの保存
- アプリやWebサービスの運用
- アクセス負荷の分散
- バックアップ
- 障害対策
などです。
動画配信サービスにとって重要なのは、「AWSを使っていること」ではなく、「利用者が何も意識せず動画を見られること」です。
AWSは表に出るサービスではなく、裏側を支えるインフラとして機能しています。
電気や水道を普段意識しないのと同じように、多くの利用者はAWSの存在を知らないまま動画を楽しんでいます。
AWSは動画配信サービスそのものではない
AWSはNetflixやDisney+そのものではありません。
NetflixにはNetflix独自のアプリやレコメンド機能があり、Disney+にはDisney+独自のUIや視聴体験があります。
AWSが担っているのは、それらを動かすための土台です。
たとえるなら、
| 役割 | 内容 |
|---|---|
| Netflix・Disney+ | サービスそのもの |
| AWS | サービスを支えるインフラ |
| 利用者 | 動画を視聴する人 |
という関係になります。
そのため「AWSを使えばNetflixが作れる」というわけではありません。
ただし、NetflixやDisney+ほどの規模になると、自前設備だけで世界中へ安定配信するのは非常に難しくなります。
そこでクラウドインフラとしてAWSが活用されています。
なぜ動画配信サービスは巨大なインフラを必要とするのか
NetflixやDisney+がAWSを活用している背景には、動画配信特有の難しさがあります。動画はテキストや画像と比べて扱うデータ量が圧倒的に大きく、利用者が増えるほど負荷も急激に高まります。
数百万人が同時にアクセスする世界
動画配信サービスはアクセスの集中が極端です。
新シーズンの公開直後や話題作の配信開始日には、世界中の利用者が同じ時間帯にアクセスします。
たとえば人気シリーズの最新話が公開されると、
- アプリを起動する
- 作品ページを開く
- 動画を再生する
という処理がほぼ同時に行われます。
これが数百万人単位になると、通常時とは比較にならない負荷が発生します。
自前サーバーだけで対応しようとすると、ピーク時に合わせた設備を常に持ち続ける必要があります。
しかしアクセス集中は毎日続くわけではありません。
そのため必要に応じてリソースを増減できるクラウドの考え方が広がっていきました。
高画質化によって増え続けるデータ量
動画配信サービスの競争は画質競争でもあります。
かつてはSD画質が中心でしたが、
- フルHD
- 4K
- HDR
と高画質化が進みました。
画質が向上すると、当然ながら動画データのサイズも大きくなります。
同じ映画でも数GBから数十GBになることもあります。
さらにNetflixやDisney+は膨大な作品数を保有しています。
数本の動画であれば管理は難しくありませんが、何万本もの作品を保管しながら世界中へ届けるとなると、大規模なストレージと配信基盤が必要になります。
配信停止がそのまま機会損失につながる
動画配信サービスは24時間365日利用されています。
そのためシステム障害によって視聴できなくなると、利用者の不満だけでなく事業への影響も大きくなります。
特にサブスクリプション型のサービスでは、
「見たい時に見られない」
という体験そのものが価値を下げてしまいます。
動画配信事業者は、
- サーバー障害
- ネットワーク障害
- データ消失
- アクセス集中
といったリスクを常に想定しています。
AWSが評価されている理由のひとつも、こうした障害対策や冗長構成を取りやすい点にあります。
NetflixがAWSに移行した理由
現在ではAWS活用の代表例として知られるNetflixですが、最初からクラウド中心だったわけではありません。
むしろ、自社設備を運用していた時代がありました。
Netflixはもともと自社データセンター中心だった
NetflixはDVDレンタル事業からスタートし、その後動画配信サービスへ成長していきました。
サービス規模が比較的小さい頃は、自社データセンターを中心に運営していました。
当時としては一般的な形でしたが、利用者の増加とともに課題も大きくなっていきます。
新しい設備の調達には時間がかかり、急激な成長への対応も簡単ではありませんでした。
動画配信が主力になるにつれて、インフラの柔軟性が重要なテーマになっていきます。
障害をきっかけにクラウド移行を進めた背景
Netflixがクラウド移行を本格的に進める大きなきっかけになったのが、2008年に発生した大規模なデータベース障害です。
障害の影響は数日間に及び、サービス運営に大きな支障が出ました。
この経験からNetflixは、
「ひとつの設備に依存しない仕組み」
の必要性を強く認識します。
そこで選ばれたのがAWSでした。
Netflixは数年をかけて段階的に移行を進め、クラウドネイティブな構成へ変化していきました。
一度に切り替えるのではなく、少しずつ移行を進めた点も特徴です。
AWS移行によって得られたもの
AWS移行によってNetflixが得た最大の価値は、柔軟性と拡張性でした。
利用者が増えても設備増強のために長期間待つ必要がなくなり、必要な時に必要なだけリソースを確保できるようになりました。
また、
- 障害への強さ
- グローバル展開のしやすさ
- システム更新の柔軟性
も向上しました。
現在のNetflixは独自の配信技術やCDNであるOpen Connectも活用していますが、その土台にはAWS移行で培われたクラウド活用の考え方があります。
Netflixの事例は、AWSそのものの話というよりも、「急成長する動画配信サービスがどのようにインフラを進化させてきたのか」を示す代表的なケースとして語られることが多くなっています。
Disney+の世界配信を支える仕組み
Netflixが既存サービスを成長させながらクラウド活用を進めたのに対し、Disney+は世界規模の動画配信サービスとしてスタートしました。そのため、サービス開始時から大規模配信を前提とした設計が求められていました。
Disney+はグローバル展開を前提にスタートした
Disney+が正式にサービスを開始したのは2019年です。
Netflixが長い時間をかけて世界展開を進めてきたのに対し、Disney+は比較的短期間で多くの国と地域へ展開していきました。
背景には、ディズニーがすでに持っていた強力なコンテンツ資産があります。
- ディズニー作品
- ピクサー作品
- マーベル作品
- スター・ウォーズ作品
- ナショナルジオグラフィック作品
など、世界中にファンを持つコンテンツを配信するため、サービス開始直後から大規模なアクセスが見込まれていました。
動画配信サービスでは、利用者数が増えてからインフラを考えるのではなく、最初から成長を想定した設計が求められることがあります。
Disney+はまさにその代表例といえるでしょう。
新作公開時のアクセス集中への対応
動画配信サービスにとって最も負荷が高まるタイミングのひとつが人気作品の公開日です。
例えば、
- 新作マーベルドラマ
- スター・ウォーズシリーズの新エピソード
- 大型映画の配信開始
などでは、公開直後にアクセスが集中します。
一般的なWebサイトであれば多少表示が遅くなる程度で済むこともありますが、動画配信サービスでは事情が異なります。
動画が再生できない
↓
利用者が再試行する
↓
さらに負荷が増える
という連鎖が起こるためです。
そのため運営側は、平常時ではなくピーク時を想定して準備を進めています。
実際の運用では、
- アクセス監視
- 負荷予測
- 配信サーバーの増強
- コンテンツ配信網の最適化
などを組み合わせながら対応しています。
利用者から見ると「普通に再生できた」で終わる出来事ですが、その状態を維持するためには大規模な仕組みが必要になります。
AWSとの組み合わせで実現する世界配信
Disney+が展開している地域は北米だけではありません。
ヨーロッパ、アジア、オセアニア、中南米など、多くの地域で利用されています。
動画配信サービスが世界展開を行う場合、重要になるのが利用者との距離です。
日本の利用者が動画を見るたびに、毎回アメリカ本土のサーバーへアクセスしていては快適な視聴は難しくなります。
そこで活用されるのが世界各地に配置されたインフラです。
AWSは世界中にデータセンターやネットワーク拠点を持っており、それらを活用することで利用者に近い場所からデータを届けやすくなります。
動画配信サービスの運営では、
- 動画をどこに保存するか
- どこから配信するか
- 障害時にどこへ切り替えるか
といった設計が重要になります。
Disney+のような世界規模のサービスでは、こうした仕組みそのものがサービス品質を左右する要素になっています。
AWSが動画配信業界で広く使用されている理由
NetflixやDisney+だけでなく、多くの動画配信サービスがAWSを活用しています。その背景には単なる技術トレンドではなく、動画配信事業そのものの変化があります。
サーバーを持つこと自体が目的ではなくなった
かつては自社サーバーを保有することが一般的でした。
設備を購入し、ラックを設置し、運用担当者が管理する形です。
しかし動画配信サービスが大規模化するにつれ、サーバー管理そのものが大きな負担になっていきました。
利用者が増えるたびに、
- サーバーを追加する
- ストレージを増設する
- ネットワークを強化する
といった作業が必要になります。
動画配信事業者が本当にやりたいことは、サーバーを管理することではありません。
魅力的なコンテンツを届けたり、サービス体験を向上させたりすることです。
そのためインフラ管理を効率化できるクラウドの価値が高まっていきました。
必要な時だけリソースを増やせる
動画配信サービスは利用状況の変動が大きい事業です。
普段は問題なく運営できていても、
- 人気作品の配信開始
- 大型連休
- スポーツイベント
などによってアクセスが急増することがあります。
自社設備だけで対応する場合は、そのピークに合わせて設備を用意する必要があります。
しかしピーク時以外は、その設備の多くが使われない状態になります。
AWSでは必要な時だけリソースを増やし、利用状況に応じて調整できます。
この柔軟性は動画配信サービスとの相性が非常に良い特徴のひとつです。
配信事業者が本業に集中しやすい
NetflixやDisney+が競争しているのはインフラではありません。
利用者にどんな作品を届けるか
どんな体験を提供するか
という部分です。
もちろんインフラは重要ですが、それ自体が差別化要素になる場面は多くありません。
クラウドを活用することで、
- コンテンツ制作
- サービス改善
- ユーザー体験向上
にリソースを振り向けやすくなります。
AWSが広く利用されている理由のひとつも、インフラ運用の負担を減らしながら事業運営を進めやすい点にあります。
AWSを使うメリット
NetflixやDisney+の事例を見ると、AWSの価値は単純なサーバー代替ではないことが分かります。動画配信サービスにとっては、事業を成長させるための土台として機能しています。
急激なアクセス増加に対応しやすい
動画配信サービスではアクセス数の予測が難しいことがあります。
話題作が予想以上にヒットしたり、SNSで急に拡散されたりすることもあります。
その際、自社設備だけでは対応が難しくなる場合があります。
AWSでは必要に応じてリソースを増やせるため、急なアクセス増加にも対応しやすくなります。
もちろん無制限ではありませんが、あらかじめ大量の設備を保有する必要がない点は大きな特徴です。
世界展開しやすい
NetflixもDisney+も世界中で利用されています。
世界展開では、
- 配信速度
- 通信品質
- 障害対策
などを各地域で考える必要があります。
自社だけで世界規模のインフラを構築するのは容易ではありません。
AWSは世界各地に拠点を持っているため、各地域への展開を進めやすい環境が整っています。
グローバルサービスとの相性が良い理由もここにあります。
システムを段階的に成長させやすい
すべての動画配信サービスがNetflix規模から始まるわけではありません。
多くの場合は小さく始まり、利用者数や作品数に合わせて成長していきます。
その際、
| フェーズ | 必要な規模 |
|---|---|
| サービス開始 | 小規模 |
| 利用者増加 | 中規模 |
| 大規模展開 | 大規模 |
という形で段階的に変化します。
AWSはこの変化に合わせて拡張しやすい特徴があります。
最初から巨大な設備を用意する必要がなく、成長に合わせて構成を見直していけるため、Netflixをはじめ多くの動画配信事業者が採用する理由のひとつになっています。
AWSの課題とは
NetflixやDisney+の事例を見るとAWSは非常に魅力的に見えます。しかし、AWSは万能な仕組みではありません。実際の運用ではコストや設計、運用体制といった課題も存在します。
利用量によってコストが変動する
AWSの特徴のひとつは、使った分だけ料金が発生する従量課金です。
設備を購入する必要がない反面、利用状況によって費用は変動します。
動画配信では特に、
- 動画保存容量
- データ転送量
- 配信量
- 同時接続数
が費用に大きく影響します。
例えば、想定以上に作品がヒットした場合は利用者が増えるため、配信コストも増加します。
これは事業が成長している証拠でもありますが、事前の予測が難しいという側面もあります。
動画配信サービスでは「設備費が固定で安心」と「利用量に応じて変動する」のどちらが良いかは事業の状況によって変わります。
NetflixやDisney+のような大規模サービスであれば柔軟性のメリットが大きくなりますが、すべてのサービスに同じ答えが当てはまるわけではありません。
設計や運用には専門知識が必要になる
AWSは非常に多機能です。
そのため自由度が高い反面、設計を誤ると運用が複雑になることがあります。
例えば動画配信ひとつとっても、
- 動画をどこに保存するか
- どこから配信するか
- 障害時にどう切り替えるか
- 負荷増加時にどう対応するか
といった設計が必要になります。
Netflixは自社で大規模なエンジニア組織を持ち、独自技術も多数開発しています。
Disney+も同様です。
つまり、AWSを利用しているからといって運用負荷がゼロになるわけではありません。
AWSは便利な道具ですが、その道具をどう使うかは別の話になります。
小規模サービスには過剰な場合もある
動画配信サービスと聞くとNetflixやDisney+のような巨大サービスを思い浮かべがちです。
しかし実際には、
- 企業研修
- 会員向け配信
- オンライン講座
- イベントアーカイブ
など、小規模から始まるケースも数多くあります。
こうしたケースでは、最初から大規模なAWS構成を組む必要がないこともあります。
運用担当者が少ない場合や、配信本数が限られている場合には、もっとシンプルな方法のほうが管理しやすいこともあります。
動画配信で重要なのは最新技術を使うことではなく、継続して運営できることです。
AWSを動画配信に活用するには
動画配信サービスを支える仕組みにはさまざまな選択肢があります。AWSを利用するといっても、その使い方はひとつではありません。
AWSを直接利用する方法
NetflixのようにAWSを基盤として活用し、自社でサービスを構築する方法です。
自由度が高く、
- 独自機能の開発
- システム連携
- カスタマイズ
などを行いやすい特徴があります。
一方で、
- 設計
- 構築
- 運用
- 保守
も自社で考える必要があります。
サービス規模が大きく、独自性を重視する場合には有力な選択肢になります。
動画配信SaaSを利用する方法
動画配信機能をサービスとして利用する方法です。
例えば、
- Vimeo
- Brightcove
- J-Stream
- ULIZA
などがあります。
これらのサービスの多くも、裏側ではクラウドインフラを活用しています。
利用者から見ると、
- 動画をアップロードする
- 公開する
- 視聴状況を確認する
といった機能が最初から用意されています。
配信機能を素早く利用したい場合や、運用担当者が限られている場合には選択肢になりやすい方法です。
配信基盤だけクラウドを活用する方法
すべてをAWSへ移行するのではなく、一部だけ利用する方法もあります。
例えば、
| 機能 | 利用方法 |
|---|---|
| 会員管理 | 自社システム |
| Webサイト | 自社運用 |
| 動画保存 | クラウド |
| 動画配信 | CDN利用 |
という構成です。
実際の現場では、このようなハイブリッド構成も少なくありません。
必要な部分だけをクラウド化することで、既存システムを活かしながら運用を続けることができます。
AWS導入の必要性とは
NetflixやDisney+の事例を見るとAWSの重要性がよく分かります。ただし、それをそのまま他のサービスへ当てはめるのは少し注意が必要です。
Netflixと同じ構成を目指す必要はない
Netflixは世界最大級の動画配信サービスです。
Disney+も世界規模で展開されています。
そのため両社の構成は非常に高度で複雑です。
しかし、すべての動画配信サービスが同じレベルの構成を必要とするわけではありません。
実際には、
- 配信規模
- 視聴者数
- 配信地域
- コンテンツ量
によって必要な仕組みは変わります。
Netflixの事例は参考になりますが、同じ構成を再現することが目的になるわけではありません。
配信規模によって最適解は変わる
動画配信サービスにはさまざまな形があります。
例えば、
| 配信規模 | 向いている構成例 |
|---|---|
| 小規模 | SaaS活用 |
| 中規模 | SaaS+一部独自運用 |
| 大規模 | AWS活用+独自開発 |
といった考え方もあります。
利用者数や運営体制によって適した選択肢は変わります。
そのため「AWSが正解」ではなく、「どの規模にどの構成が合うか」で考えることが重要になります。
運用負荷まで含めて考える
動画配信では機能や性能に目が向きがちです。
しかし実際の運営では、
- 誰が管理するのか
- 障害時に対応できるのか
- コンテンツを増やしていけるのか
といった運用面も重要になります。
NetflixやDisney+が長年サービスを継続できている理由も、インフラだけではなく運営体制が整っているためです。
動画配信は作ることよりも続けることの方が難しい場合があります。
“AWS導入 = 動画配信成功”とはならないことに注意
NetflixやDisney+を調べていくと、AWSが動画配信業界で大きな役割を果たしていることが見えてきます。しかし両社の成功を支えているのは、AWSそのものではありません。
NetflixやDisney+が重視したのは運営継続性
Netflixは障害を経験したことをきっかけにAWSへ移行しました。
Disney+は世界展開を前提にクラウド活用を進めました。
共通しているのは、目先の便利さではなく長期的な運営を見据えていた点です。
利用者が増えても配信を続けられること。
障害が発生してもサービスを止めないこと。
そのための手段としてAWSが選ばれました。
AWSは選択肢のひとつとして考える
AWSは非常に優れたクラウド基盤ですが、動画配信を成功させる唯一の方法ではありません。
実際には、
- SaaSを利用する
- 一部だけクラウド化する
- 独自開発する
などさまざまな選択肢があります。
NetflixやDisney+も最初から現在の形だったわけではなく、成長に合わせて仕組みを進化させてきました。
長期運用できる仕組みが最終的に重要になる
動画配信サービスは公開して終わりではありません。
コンテンツは増え続け、利用者の期待も変化していきます。
だからこそ重要なのは、
- 拡張できること
- 管理できること
- 継続できること
です。
NetflixやDisney+がAWSを活用している理由も、最新技術を導入するためというより、長期的にサービスを運営するためでした。
普段何気なく視聴している動画の裏側には、こうした運営の積み重ねがあります。AWSは、その舞台裏を支える重要な存在のひとつなのです。
よくある質問:
Q. Netflixは本当にAWS上で動いているのですか?
A. はい。Netflixは2008年頃からAWSへの移行を進め、現在も多くのシステムをAWS上で運用しています。ただし、動画配信そのものはNetflix独自のCDN「Open Connect」も活用しており、すべてをAWSだけでまかなっているわけではありません。Q. Disney+もNetflixと同じようにAWSを利用しているのですか?
A. 利用しています。ただし構成はNetflixと同一ではありません。Disney+はAWSを活用しながら、世界各地への配信やアクセス集中への対応を行っています。動画配信サービスごとに設計は異なりますが、大規模配信を支える基盤としてAWSが重要な役割を担っています。Q. AWSを使えばNetflixのような動画配信サービスを作れるのでしょうか?
A. AWSは動画配信サービスを支える基盤として利用できますが、AWSを導入するだけでNetflixのようなサービスが完成するわけではありません。会員管理、レコメンド機能、アプリ開発、コンテンツ管理、運営体制など、多くの要素を組み合わせて初めて動画配信サービスとして成り立ちます。



