結論から言うと、社内のファイルサーバーや共有の保管機がいっぱいになったとき、最初に検討すべきは「増設」でも「クラウドへの全面移行」でもなく、”古いデータだけを別の安い保管へ逃がす”ことです。 日々の作業場所(今使っているサーバーや共有フォルダ)は変えないまま、もう使っていないが捨てられないデータだけを外に出す。これがいちばん短い手数で空き容量をつくる方法です。
そして、逃がすときの段取りは次の5段に集約されます。①棚卸し(何を逃がすか決める)→ ②吸い上げ(保管先へコピーする)→ ③検証(ちゃんと入ったか突き合わせる)→ ④元データを消す(ここで初めて容量が空く)→ ⑤ルール化(次から同じことが起きないようにする)。この順番を崩さないことが、事故を起こさないコツです。
「空きが数%まで減って警告が出ている」「増設の稟議は通しにくい」「でも消す判断はできない」——社内のファイルサーバーや社内の共有ファイル保管機(NAS)の管理を任されている情シス兼務の総務・管理部門、現場のとりまとめ担当の方に向けて、以下ではなぜ共有の保管機は埋まるのか、何を逃がすのか、そしてどうやって業務を止めずに逃がすのかを順に整理します。
なぜ社内の保管機は、いつもいっぱいになるのか
まず構造を押さえます。容量不足は「使いすぎ」よりも、溜まる仕組みが放置されていることが原因になりやすいと各社の解説では説明されています。
- 最終版以外が残り続ける:保存ルールがないと、同じ資料の複数版、作業途中のファイル、別名保存が積み上がります。容量不足の主因として多くの解説が一致しています。
- 同じファイルが複数の場所に置かれる:部門ごとに同じ資料を抱え、重複が容量を食います。
- 終了案件・退職者のフォルダが片付かない:1件は小さくても、積み上がると無視できない量になります。
- バックアップが増え続ける:世代を残す設計上、単純には削れず保管量が増えます。「バックアップが時間枠に収まらなくなった」のが容量不足に気づくきっかけになりやすい、という指摘もあります。
- 1ファイルが大きい:図面やCAD、検査動画、現場写真、スキャンした書類。「古いのに大きい」ファイルが容量を押し上げているケースが多くみられます。
- 誰も消せない:保存年限が決まっていない、判断する責任者がいない、「後で要るかも」。
ここで押さえておきたいのが、データの偏りです。一般には、最終更新から1年以上経過したデータが全体の6〜8割を占め、直近30日以内に触られたデータは数%程度とされます(各社の解説・調査の引用による一般論で、当社の実績値ではありません)。
つまり、容量を食っているのは「もう使っていないが捨てられないデータ」です。だからこそ、消す判断で立ち止まるより、先に”逃がす”ほうが早く効きます。
なお、増設やより大きな機器への交換は選択肢としてはあり得ますが、購入・設定・保守の手間が発生し、機器の保守期間は5年前後、内蔵ディスクの交換目安は業務利用で3〜5年とされることが多いとも言われます。増やしても数年後に同じ判断が回ってくるという点は、計画に織り込んでおくべきところです。
何を逃がして、何を残すのか
逃がす対象を広げすぎると、失敗のリスクだけが上がります。まずは安全に逃がせるところから始めるのが定石です。判断は主に次の観点で行います。
- 進行中かどうか:進行中案件・共有中のファイルは触らない。ここを混ぜると、編集中の版が二重になったりリンクが切れたりします。除外リストに入れて明示的に外します。
- 最後に更新された時期:一定期間まったく更新のないフォルダから。「古いフォルダ順」に並べるだけで候補は絞れます。
- 終わった案件かどうか:完了・検収済みの案件フォルダは、退避の第一候補です。
- 容量へのインパクト:図面・動画・写真のように「大きくて古い」ものを先に逃がすと、少ない手数で空きが増えます。
- 業務システムから参照されていないか:特定のパスを直接読んでいる業務アプリがあると、動かした瞬間に止まります。ここは事前確認が必須です。
大づかみには、「終わっている・更新が止まっている・大きい・でも捨てられない」に寄るほど退避向き、日々出し入れするものは無理に動かさない、という線引きになります。
ただし、実務でこれをやるにはフォルダ単位で容量・件数・最終更新日・保存年限・退避可否を書き出す棚卸しが必要です。この記事では観点までにとどめます。そのまま記入して使える棚卸しシート(記入例つき)と除外リストの枠は、末尾の資料にまとめています。
どうやって逃がすか──業務を止めない5段の段取り
ここが本題です。一度に全部動かさない、これが最大の原則です。
①準備:逃がす前に「戻し方」を決める
対象フォルダと除外フォルダを確定し、関係者に周知します。このとき見落とされがちなのが、「必要になったらどう戻すのか」を先に決めておくことです。戻す手順・依頼先・担当が決まっていないと、現場が不安がって退避そのものが止まります。あわせて、退避後に誰が見られる状態を維持するか(権限の対応)も先に決めます。データだけ移して権限や共有設定が引き継がれず、「見えるべき人に見えない」「見えてはいけない人に見えている」となるのは、移行でよくある失敗です。
②吸い上げ:手作業コピーに頼らず、小分けに
大容量の転送は時間がかかり、負荷が高いと業務に影響します。休日・夜間にまとめて実施する計画が一般的ですが、担当者に負荷が集中し、終わらなければ翌営業日に間に合わないというリスクを抱えます。小さいファイルが大量にあると、テストのときと本番で転送速度が大きく変わる(テストは速かったのに本番が終わらない)のも定番のつまずきです。
現実的な打ち手は、1部署または1案件で小さく試してから、古いフォルダを小分けに進めること。そして、担当者の手作業コピーではなく、指定したフォルダから自動でクラウドの保管先へ吸い上げてくれる仕組みを使うことです。
necfru drive には、この吸い上げを担うデスクトップアプリ(Windows/Mac 対応)があります。できることと、できないことを正直に整理します。
- PC側のフォルダを指定して、necfru drive へ自動でアップロードします。 PC側はマウント済みのドライブや、ネットワークドライブとして割り当てたフォルダも指定できるため、社内の共有保管機のフォルダをそのまま対象にできます。necfru drive 側も、自分に権限のあるフォルダを指定できます。
- 常駐して自動で吸い上げます。(確認の間隔は設定できます。)夜間に一括で走らせる作業ではなく、少しずつ吸い上げていく運用にできます。時刻を指定して実行するスケジュール機能はありません——常駐+間隔設定という方式です。
- アプリ自体の利用に追加費用はかかりません。(なお、保管や取り込みにかかる費用は利用量に応じて決まります。詳しくは資料またはお問い合わせでご確認ください。)
- 吸い上げは「コピー」であり、「移動」ではありません。 つまり、吸い上げてもPC側・共有保管機側の元ファイルは残ります。ここは誤解されやすい重要な点です。容量を空けるには、後述の検証を行ったうえで、元データを消す判断が別に必要です。
- 戻す方向(necfru drive → PC)は、アプリではできません。 必要なファイルを取り出すときは、Webブラウザからダウンロードします。アプリは吸い上げ(アップロード)専用です。
③検証:件数と容量を突き合わせる(ここを飛ばさない)
退避で最大の事故は、検証しないまま元データを消すことです。実務の定番は、コピー元とコピー先で「容量・ファイル数・フォルダ数」を突き合わせる、そしてコピーの記録で失敗が0件であることを確認するという2点です。データ量が多いと確認そのものに時間がかかるため、サブフォルダ単位に分けて確認するのが現実的です。
このほか、長いパスや特殊な文字を含むファイルの取りこぼし、サンプル抽出で実際に開いて中身を確認する、といった観点も要ります。検証項目を漏れなく回すためのチェックリストは資料に収録しています。
④元データを消す:ここで初めて容量が空く
繰り返しになりますが、吸い上げた時点では容量は空きません(コピーだからです)。空けるには元データを消す必要があり、そのためには「誰が、何をもって、消していいと言うか」が決まっていなければ話が進みません。
実務では、検証OK → 該当フォルダを読み取り専用にして一定期間様子を見る → 部門長の承認を得て削除 → 空き容量を確認、という段取りが取られます。あわせて、現場への案内(「このフォルダは長期保管へ移しました。必要なときは〇〇へ」)を出しておくと、「消えた」という騒ぎを防げます。猶予期間の置き方、承認の記録、案内文の型は資料にまとめました。
⑤ルール化:次から同じことが起きないように
一度逃がしただけでは、数年後に同じ状況が来ます。日々の作業場所はどこで、長期保管はどこか。何を、どのくらいの頻度で、誰が逃がすか。この線引きを決めて、年1回の棚卸しを回すところまでが退避の仕事です。
逃がしたあと「探せる」かどうかが分かれ目
退避の話でほとんど語られないのが、逃がした先で中身をどう確認し、どう探すかです。外付けの機器やテープでの保管に逃がして、数年後に「どこにあるか分からない」となれば、それは退避ではなく死蔵です。現場が「消されたのと同じ」と感じれば、次の退避は通りません。
necfru drive では、逃がしたあとも中身から辿れる状態を保てます。
- 軽いプレビュー(元データを開かずに中身を確認できる軽い確認用データ)が全ファイルで自動的につくられ、保管の種類にかかわらず、見る・ダウンロード・共有ができます。使わないデータ向けの安い保管に置いたファイルでも、中身の確認だけなら取り出しの処理は要りません。原本そのもののダウンロードは、よく使う保管なら即時、安い保管に置いた原本は原本を戻す処理を挟みます。
- AIによる概要作成でファイルの内容が自動で要約され、開かずに一覧で中身を把握できます。
- AIによる自動タグ付けが、場所・人物・案件名・キーワードなどを手がかり(目印)として付けます。
- AI横断検索が、要約・目印・音声を文字にしたもの・付帯情報(作成日・案件名など)をまたいで探すため、ファイル名を思い出せなくても候補が出てきます。
- 権限の管理と操作の記録も維持できます。 ユーザー・グループ・権限の管理機能があり、ログインやダウンロード、共有などの操作履歴はCSVで出力できます。通信は暗号化を標準で適用し、保管先は国内のデータセンター(AWS S3 東京リージョン)で、顧客ごとに論理的に分けられた専有領域です。
- なお、顧客のデータがAIモデルの学習に利用されることはありません。
社内の保管機を増やさずに、古いデータだけを安く長期保管でき、しかも中身から探せる法人向けの保管基盤が『necfru drive』です。既存の Dropbox・Box・Google Drive・OneDrive・SharePoint にも標準で対応しているため、社内サーバーからの退避と、クラウド側の重いデータの退避を、同じ運用で扱えます。
活用イメージ(退避が効く場面)
- 建築・設計の現場:古い設計図や過去のCADデータでサーバーの容量が逼迫。使わないが捨てられないデータを安い保管へ逃がし、軽いプレビューと自動の目印で確認・検索できる状態にして、増設を先送りする——という使い方ができます。本テーマにいちばん近い例です。
- 製造・工事の現場:完了案件の現場写真や検査映像が、共有の保管機を圧迫。案件が閉じた単位で逃がしていくと、進行中の作業には触らずに空きをつくれます。
- 管理部門:過去の帳票や契約関連の書類。捨てられない代わりに長期保管へ回し、必要になったときはWebから探して取り出す運用にできます。
- 放送・映像の現場:過去素材が散在している状態から、長期保管へ集約して必要なときだけ取り出す、という整理もできます。
いずれも共通しているのは、作業のやり方は変えず、古いデータだけを外に出しているという点です。
necfru drive が「向く条件」と「向かない条件」
退避先として necfru drive を検討するなら、向く場合と向かない場合を正直にお伝えします。
向いているケース
- 既存の Google Drive・OneDrive・Dropbox・Box を使い続けたい
- 大容量ファイルや完了案件データだけを別保管したい
- ファイル名やフォルダ名だけでは、必要なファイルを探しにくい
- 動画・PDF・画像・資料などの中身を確認してから再利用したい
- AIによる概要作成・自動タグ付け・動画文字起こしを使って検索性を高めたい
- 必要なときに検索・プレビューし、元のクラウドやサーバーへ戻して使いたい
- 権限管理や外部共有も維持したい
向いていないケース
- Office 文書の共同編集そのものを改善したい
- 個人向けの写真・動画保管が目的
- とにかく最安の保管先だけを探している
- AIによる概要化やタグ付けではなく、人手で厳密な分類・承認ワークフローを設計したい
- 全ファイルを常時すぐ編集したい
つまり necfru drive は「今の作業場所を置き換えるもの」ではなく、作業場の隣に置く”探せる長期保管の置き場”です。向く条件に当てはまるなら、「古いデータをどこへ、どうやって逃がすか」「逃がしたら探せなくなるのでは」という課題は、necfru drive で解決できます。ユーザー数は無制限で、導入・運用の支援(メール・Web会議)は標準、無償のオンラインデモと1か月のトライアル(容量・期間に制限あり)もご用意しています。費用や自社データでの試算は個別のご相談になりますので、製品ページからお問い合わせください。
資料ダウンロード
この記事では「なぜ埋まるのか」「何を逃がすか」「どういう順番で進めるか」という段取りの考え方までをお伝えしました。実際に手を動かすときに使えるツールは、資料にまとめています。
「ファイルサーバー・NASの古いデータ 退避実行ガイド」を無料でダウンロードいただけます。
資料には、記事で触れた”続き”として次を収録しています。
- 退避対象の棚卸しシート
フォルダ単位で用途・所管部門・容量・ファイル数・最終更新日・進行中か終了か・保存年限・退避可否を書き込む。記入例つき/進行中案件や業務システムが参照するパスを外す「除外リスト」枠つき - 退避の実行手順チェックリスト(5段・各段の安全確認つき)
準備/吸い上げ/検証(容量・ファイル数・フォルダ数の突合、失敗0件の確認、サンプル確認)/元データの削除(猶予・承認・空き容量確認)/ルール化 - やってはいけない失敗パターン
検証前に元を消す/全部を一度に動かす/進行中データまで動かす/権限の引き継ぎを決めていない/戻し方を決めていない/担当1人の夜間作業に頼る 等。「何が起きるか/代わりにどうするか」つき - 退避前後の運用ルール表
日々の作業場所/長期保管/退避の対象・頻度/担当/確認方法を、退避前後で対比。担当と頻度を明記 - 周知文・削除承認依頼のひな形
現場への案内文、部門長への承認依頼の項目立て - 導入・運用のよくある質問(FAQ)
元データは消えるのか/戻し方/権限や操作の記録/既存クラウドとの併用/費用の考え方 等
「進め方は分かった、あとは自社のフォルダで実際に回すだけ」という方に向けた、そのまま使える実務ツールです。
フォームが表示されない場合は、お問い合わせフォームからもご請求いただけます。
necfru driveについて
Google Drive、OneDrive、Dropbox、Box、社内サーバーを日常の作業場所として使い続けながら、使わないが捨てられないファイルだけを別の保管領域へ退避する方法があります。
necfru driveは、容量を圧迫する大容量ファイルや完了案件データを、検索・プレビュー・権限管理付きで保管できる法人向けアーカイブ基盤です。必要なときは元のクラウドやサーバーへ戻して利用できます。
また、AIによるファイル概要の書き起こし、自動タグ付け、動画の自動文字起こし、PDFなどの各ページ概要化にも対応しているため、ファイル名やフォルダ名だけに頼らず、保管したファイルの中身を把握しやすくなります。
一方で、Office文書の共同編集そのものを改善したい場合や、個人向けの写真・動画保管だけが目的の場合は、Google Drive、OneDrive、SharePoint、Dropbox、Boxなどの既存クラウドをそのまま活用する方が適している場合があります。



