「あの資料、どこにあったっけ?」
社内のファイルサーバーを探して、見つからなければクラウドストレージを確認。それでもなければ、別の部署に聞いてみる。必要なファイルは社内のどこかにあるはずなのに、保存場所が分からず探すだけで時間がかかることがあります。
こうした問題が起きる理由のひとつが、部署やシステムごとにデータが分かれている「データサイロ」です。
ファイル管理を見直すとき、必ずしもすべてのファイルを一か所へ移す必要はありません。今使っているファイルサーバーやNAS、クラウドなどを残したまま、必要なファイルをまとめて探せるようにする方法もあります。
この記事では、社内ファイルにおけるデータサイロとは何か、なぜファイルが見つけにくくなるのか、そして今の保存環境を活かしながら改善する方法を紹介します。
データやファイルが見つからないのはなぜ?
データサイロとはどんな状態?
データサイロとは、データが部署やシステムごとに分かれて保存され、ほかの部署やシステムから簡単に利用できない状態のことです。
社内ファイルで考えると分かりやすいでしょう。
営業部はクラウドストレージ、制作部はNAS、総務部はファイルサーバーというように、それぞれが別の場所でファイルを管理している状態です。
保存場所が違うこと自体が問題なのではありません。それぞれの部署が仕事をしやすい環境を選んだ結果、自然と保存先が増えていくこともあります。
問題になるのは、必要なファイルがどこにあるのか分からず、保存場所をひとつずつ探さなければならない状態です。
ファイルはあるのに「どこにあるか分からない」が起きる理由
ファイルが見つからないと、「ちゃんと整理されていないから」と考えがちです。しかし、フォルダをきれいに整理するだけでは解決しないケースもあります。
たとえば、ある案件について調べたいとき、見積書は営業部のクラウド、仕様書は社内サーバー、画像や動画はNASに保存されているかもしれません。
ファイル名やフォルダ構成を整理していても、そもそも検索する場所が分かれていれば、それぞれを開いて探す必要があります。
さらに、保存先が増えるほど「この資料はどこに置くのか」「以前の資料はどこにあるのか」を個人の記憶に頼りやすくなります。
社内ファイルが見つからない問題を考えるときは、ファイルの整理方法だけでなく、「保存場所をまたいで探せるか」という視点も必要です。
部署やシステムごとにファイルが分かれると
必要なファイルを探すだけで時間がかかる
データサイロによる分かりやすい問題が、ファイルを探す手間です。
「まずファイルサーバーを検索する。なければクラウドを見る。それでも見つからなければ担当者に聞く」といった探し方では、ひとつの資料を見つけるだけでも時間がかかります。
保存場所を知っている人ならすぐ見つけられても、別部署の人や新しく入った人には分かりません。
「あの資料なら○○さんに聞けば分かる」という状態になると、ファイル管理が特定の人の記憶に依存してしまいます。
同じファイルが増えて最新版が分からなくなる
保存場所が分かれていると、同じファイルを別の場所へコピーして使うことも増えます。
すると、
「最終版」
「最終版2」
「最新版」
「最新版_修正」
といった似たファイルが複数の場所に残り、どれを使えばいいのか分からなくなることがあります。
古いファイルを使ってしまうだけでなく、確認のために担当者へ連絡する手間も増えます。
データサイロは「ファイルが見つからない」だけではなく、「見つかったファイルが正しいのか判断しにくい」という問題にもつながります。
部署をまたいで情報を活用しにくくなる
別の部署に役立つ資料があっても、その存在を知らなければ利用できません。
たとえば、営業部が過去に作った提案資料や顧客から受けた質問が、商品企画やマーケティングにも役立つことがあります。しかし、そのファイルが営業部だけの保存場所にあり、ほかの部署から探せなければ情報は埋もれたままです。
せっかく社内に蓄積されている資料でも、見つけられなければ再利用できません。
データサイロを解消する目的は、単にファイルをきれいに整理することではなく、社内にすでにある情報を必要な人が見つけ、活用できる状態にすることです。
散らばったファイルをまとめて探す
保存場所を意識せず必要なファイルを探せる
複数の保存先を横断して検索できれば、「どこに保存されているか」を先に思い出す必要がなくなります。
探したい資料を基準に検索し、その結果としてファイルサーバーやNAS、クラウドなどにあるファイルを見つける、という探し方ができます。
これは、すべてのファイルを同じ場所へ移動することとは違います。
ファイルの保存場所は今まで通りでも、検索するときの入口をまとめることで、分散したファイルを探しやすくできます。
ファイル探しや確認の手間を減らせる
検索する場所がまとまれば、複数のストレージを順番に確認する必要がなくなります。
担当者に「あの資料どこですか?」と聞く回数を減らしたり、過去の資料を探し直したりする手間も減らせます。
また、ファイルを見つけやすくなれば、すでにある資料を再利用しやすくなります。同じような資料を一から作り直すことも防ぎやすくなります。
データサイロの解消では、ファイルをどこへ集めるかだけでなく、「必要なときに必要なファイルへたどり着けるか」が重要です。
データサイロを解消する方法
保存先そのものを統合する
分散したファイルを整理する方法のひとつが、保存先そのものを統合することです。
部署ごとに使っているファイルサーバーやNAS、クラウドストレージなどから、決められた保存先へファイルを移します。保存場所が統一されれば、「まずどこを探せばいいのか」という迷いは減らせます。
ただし、実際に統合するとなると、ファイルの移行だけでは済みません。
フォルダ構成やアクセス権限、重複ファイル、古いデータなどを整理し、業務で利用しているシステムとの関係も確認する必要があります。
ファイルの量や利用しているサービスが多いほど、移行にかかる時間や影響も大きくなります。
今の保存先を残して横断検索できるようにする
もうひとつの方法が、ファイルを移動せず、複数の保存先を横断して検索できるようにすることです。
たとえば、ファイルサーバー、NAS、クラウドストレージにファイルを置いたまま、それぞれを検索対象としてつなぎます。
この方法なら、各部署が使い慣れた保存環境を大きく変えずに、探すときだけ入口をまとめることができます。
データサイロというと「分散しているデータを全部集めなければならない」と考えがちですが、目的がファイルを見つけやすくすることであれば、保存場所を変えずに検索環境を整える方法も選択肢になります。
ファイル管理のルールを整理する
検索環境を整えても、ファイルの管理方法がバラバラなままでは別の問題が残ります。
たとえば、同じ資料を複数の場所へ保存したり、古いファイルと最新版が混在したりすると、検索結果から正しいファイルを判断しにくくなります。
どこに保存するのか、誰が更新するのか、古いファイルをどう扱うのかといった基本的なルールも整理しておくことが大切です。
検索とファイル管理は別々に考えるのではなく、「保存する」「更新する」「探す」までをひとつの流れとして考えると改善しやすくなります。
全部を一か所に移す必要はない
ファイル移行には手間とリスクがある
すでに社内で複数の保存先を使っている場合、すべてのファイルを一か所へ移すのは簡単ではありません。
大量のデータを移動する時間だけでなく、移行先の容量、アクセス権限、リンク切れ、業務システムとの連携なども確認する必要があります。
さらに、長年使っているファイルサーバーやNASには、現在も必要なファイルと、ほとんど使われていない古いファイルが混在していることもあります。
データサイロを解消するために大規模な移行を始めた結果、かえって業務への負担が大きくなることも考えられます。
既存のファイルサーバーやNAS、クラウドを活かす
今使っている保存先に大きな問題がなければ、その環境を残す方法もあります。
営業部はクラウド、制作部はNAS、管理部門はファイルサーバーという現在の運用を維持しながら、それぞれに保存されたファイルをまとめて検索できるようにします。
この考え方なら、ファイルの保存方法を一度に変更する必要はありません。
まずは「どこにあるか分からない」という検索の問題から改善し、必要に応じて重複ファイルや保存ルールを整理していくこともできます。
権限管理や更新ルールも一緒に考える
横断検索できるようにする場合も、すべての社員からすべてのファイルが見えてよいわけではありません。
人事や経理、経営資料、顧客情報など、閲覧できる人を限定すべきファイルもあります。
そのため、検索対象を広げるときは、既存のアクセス権限をどのように維持するかを確認する必要があります。
また、検索できるファイルが増えるほど、古い資料や重複ファイルも見つかりやすくなります。最新版の扱いや保存期間など、運用面のルールも合わせて整理しておくと、検索結果をより使いやすくできます。
既存の保存先を活かしてまとめて探す
ファイルサーバー・NAS・クラウドを横断して検索する
たとえば、過去の提案資料を探したいとします。
これまでは営業部のクラウドを検索し、見つからなければ社内のファイルサーバーを確認し、さらにNASも探す必要があったかもしれません。
横断検索できる環境なら、ひとつの検索窓から複数の保存先を対象に探せます。
重要なのは、ファイルを一か所に集めることではなく、分散しているファイルへひとつの入口からたどり着けるようにすることです。
necfru driveで複数の保存先をまとめて探す
necfru driveでは、既存のストレージやファイルサーバーなどを活かしながら、複数の場所にあるデータを横断して扱う環境を構築できます。
そのため、「現在の保存環境をすべて入れ替えるのは難しいが、社内に散らばったファイルは探しやすくしたい」といった場合にも選択肢になります。
まず検索しやすい状態を作り、必要に応じてファイル管理そのものを整理していけば、一度に大規模な移行を行わず段階的にデータサイロの問題へ取り組めます。
「必要なものを探せる状態」へ
データサイロは保存場所を一つにしなくても改善できる
社内ファイルが複数の場所に分かれているからといって、すべてを一か所へ移すことだけが解決策ではありません。
大切なのは、必要なファイルがどこに保存されていても、必要な人が見つけられる状態を作ることです。
保存先を統合する方法が合う会社もあれば、今使っているファイルサーバーやNAS、クラウドを残し、横断して検索できるようにする方が現実的な会社もあります。
まずは社内のファイルがどこに保存され、どこで探しにくさが生まれているのかを整理してみましょう。そのうえで、保存先の統合、横断検索、ファイル管理ルールの見直しなど、自社に必要な方法を選ぶことが重要です。
データサイロの解消は、ファイルをきれいに一か所へ集めることがゴールではありません。
「どこにあったっけ?」と保存場所を探す状態から、「必要なファイルを探せば見つかる」状態へ変えることが、社内ファイルを使いやすくする第一歩です。
よくある質問:
Q. データサイロとは何ですか?
A. データサイロとは、データが部署やシステムごとに分かれて保存され、ほかの場所から利用しにくくなっている状態です。社内ファイルの場合、ファイルサーバー、NAS、クラウドなどにデータが分散し、必要なファイルを横断して探せない状態などが該当します。Q. データサイロを解消するには、ファイルを一か所に集める必要がありますか?
A. 必ずしも一か所に集める必要はありません。保存先を統合する方法のほか、既存のファイルサーバーやNAS、クラウドを残したまま、複数の保存先を横断して検索できるようにする方法もあります。Q. データサイロを解消するときに注意することはありますか?
A. 検索できる範囲を広げるだけでなく、アクセス権限、重複ファイル、古いファイル、最新版の管理なども確認することが大切です。現在のファイル管理ルールを整理しながら進めると、検索したあとに「どれを使えばいいのか分からない」という問題も防ぎやすくなります。


