目立たないけど、しっかり売れているECサイトには共通点があります。それは「検索から見つけてもらえている」こと。小さなショップでも実践できるSEO対策をベースに、継続的な集客につなげるためのコツをまとめました。
売れているショップに共通するのは“検索で見つけてもらえている”こと
パッと見て何が違うのかわかりにくくても、実はしっかり売れているECショップには“検索からの流入”という共通点があります。SNSだけに頼らず、検索経由の導線を意識することが継続的な集客につながる大きな鍵になります。
購入につながるのは、意外と“検索から”が多い
多くの人は、何かを買いたいときや調べたいときにまずGoogleなどの検索エンジンを使います。
総務省の調査によれば、日本のインターネット利用者の約80%以上が商品購入前に検索を利用して比較や検討をしているとされています。
検索を経てたどり着いたユーザーは、すでに購買意欲がある程度高く、情報収集中ということが多いため、コンバージョン率も高くなりやすいのが特徴です。
SNSは“きっかけ”にはなるけれど…
SNS経由で商品を見てもらえるのは確かに嬉しいことですが、SNSのタイムラインは流れが早く、一度見逃されたらそれっきりというケースも少なくありません。また、広告費をかけなければ表示されにくいアルゴリズムも増えています。
しかもSNSは「なんとなく眺めている」ユーザーが多く、検索経由と比べると購買モードに入っている人が少ないというのも大きな違いです。
見つけてもらえることが、まず最初の一歩
どれだけいい商品やサービスを取り扱っていても、ユーザーの目に届かなければ意味がありません。検索経由でアクセスを得るためには、キーワード選びやページの構造が大切になってきます。
検索エンジンに正しく認識され、ユーザーの検索意図に合ったページが上位に表示されるよう工夫すること。これが、長く続く集客の“土台”になります。
小さなお店でも成果は出せる、SEOの可能性
ECサイト運営において「SEOは難しそう」「専門知識がないと無理かも」と感じている方も多いかもしれません。でも実は、小規模だからこそできるSEOの戦い方もあるのです。
コストをかけずにコツコツ集客できるのが魅力
広告に頼らず、お金をかけずに集客できる方法としてSEOは非常に有効です。
たとえばGoogle広告やSNS広告は、1クリックあたりの単価が数十円〜数百円。限られた予算では継続的に出稿するのが難しいこともあります。
それに対してSEO対策は、自分でコンテンツを育てていくことで“無料の集客チャネル”として機能していくのが大きなメリットです。
「大きく狙う」より「細かく拾う」がハマりやすい
小規模ECでは、大手と同じ人気キーワードで上位を狙うのは現実的ではありません。でも、“ちょっとニッチな検索ワード”ならチャンスがあります。
ロングテールキーワードと呼ばれる3語以上の組み合わせ(例:「手作り 焼き菓子 ギフト」など)を狙えば、検索ボリュームは少なくても購入意欲の高いユーザーに届く可能性が高まります。
ロングテールキーワードの例(ジャンル:アクセサリー)
一般的なワード | ロングテールキーワード例 |
---|---|
ピアス | ハンドメイド ピアス 40代 上品 |
ネックレス | 真鍮 ネックレス メンズ 和風デザイン |
ギフト | 誕生日 プレゼント アクセサリー 手作り |
こうしたキーワードは競合が少ないため、小さなショップでも上位に表示されるチャンスが十分あります。
ニッチでも“熱量高め”なファンに届きやすい
ニッチな商品は「売れにくい」と思われがちですが、実はその逆です。こだわりを持ったユーザーは、検索してでも“自分に合うもの”を探しにいきます。
たとえば「手作り 無添加 犬用クッキー」のようなキーワードで検索する人は、商品への理解も深く、信頼できる店を見つければリピーターになる可能性が高いのです。
このように、小さなECサイトでもSEO対策をすることで、予算に頼らず、確実に“買いたい人”に見つけてもらうことができます。
少しずつ積み上がる、“検索される”強さ
SEOを取り入れると、目に見える数字が一気に伸びるというより、じわじわとアクセスが増えていくのが特徴です。でもその“じわじわ”が、あとから大きな差を生んでくれます。短期よりも、しっかり続けてこそ見えるチャンスがあります。
地道な取り組みがアクセスを育てていく
SEOの魅力は、時間とともに効果が積み上がるところにあります。記事を書いたその日にアクセスが来ることもあれば、数か月後にじわじわと順位が上がっていくことも。
一度上位表示されれば、広告を出さなくても安定したアクセスが見込めるようになります。もちろん定期的な更新や見直しも必要ですが、しっかりと対策されたページは“資産”として働き続けてくれます。
継続的なアクセスを得やすい理由
- 検索エンジンの評価は時間をかけて積み重なる
- SNSのように「流れて消える」ことがない
- ユーザーが自発的にたどり着いてくれる導線ができる
こういった積み重ねが、コツコツ集客の柱になります。
コンテンツが“育つ”とリピートも起きやすくなる
ページが検索に強くなることでアクセスが安定するだけでなく、訪問者が他のページも読んでくれるようになります。ショップブログや商品コラムなどが少しずつ増えると、サイト全体の滞在時間も伸びて信頼感がアップします。
特に、商品の選び方や使い方を解説する記事は、読者との信頼構築につながりやすく、リピーターにも効果的です。
記事コンテンツの例(雑貨ECの場合)
ジャンル | 記事例 |
---|---|
キッチン用品 | 毎日使いたくなる木製カトラリーの魅力とは |
インテリア雑貨 | お部屋の雰囲気を変える小物の選び方 |
プレゼント需要 | 新生活ギフトに喜ばれる雑貨ランキング |
こうした記事が、商品ページだけでは届かなかった層への入り口になります。
検索上位は“信頼の証”になる
検索結果の上位に表示されると、それだけで信頼度がグッと上がります。ユーザーは無意識のうちに「上に出ているサイト=信頼できそう」と感じる傾向があります。
また、Googleなどの検索エンジンも「内容の信頼性・専門性・ユーザー満足度」を重視して評価しているため、しっかりした情報を発信していくことでSEO効果とブランドイメージの両方が育っていくのです。
気をつけたいSEOでつまずきやすいポイント
SEOを意識していても、「なぜかアクセスが増えない」と感じることはあります。実は多くのケースで、やっているつもりでも“ちょっとしたズレ”が原因になっていることが少なくありません。
狙っているキーワードがズレている
ページに書かれている内容と、ユーザーが検索しているキーワードが噛み合っていないと、検索エンジンには評価されません。
たとえば「可愛いピアス」とだけ書いても、検索結果には埋もれてしまう可能性があります。より具体的に、「20代 女性 ギフト ピアス」など、検索されやすいワードの組み合わせにする工夫が必要です。
キーワード選びのヒント
- 実際に自分でGoogle検索してみて、表示されるページを確認する
- 検索候補(サジェスト)や「他の人はこちらも検索」からアイデアを探す
- 無料ツール(Googleキーワードプランナーなど)で検索数を調べる
感覚だけで選ばず、「ちゃんと検索されているかどうか」が大事です。
商品ページだけでは足りない
ECサイトはどうしても商品ページが中心になりますが、それだけでは検索に強くなりにくい傾向があります。
検索エンジンは、役立つ情報が載っているページを高く評価します。
商品説明だけではコンテンツとしての評価が弱くなるため、使い方・レビュー・選び方・コラムなどのページを追加することで、SEO効果が高まりやすくなります。
放置されていると評価が下がることも
一度作ったページをそのままにしておくと、検索順位が落ちることがあります。特に最新の情報が求められるジャンルでは、更新されていること自体が評価対象になります。
タイトルや見出し、画像の見直しなどを定期的に行うことで、SEO効果を維持しやすくなります。
更新時に見直したいポイント
- タイトルに検索キーワードが含まれているか
- 情報が古くなっていないか
- 読みにくいレイアウトになっていないか
- 画像のaltテキストが適切に設定されているか
小さな見直しでも積み重ねれば効果につながります。
結果が出る前に諦めてしまう
SEOは短期間で成果が出にくいため、「やっても効果がない」と途中でやめてしまうケースもあります。でも、効果が出始めるまでに数ヶ月かかるのが普通です。
特に新規ドメインのECサイトでは、検索エンジンの信頼を得るまで時間がかかることがあります。それでも、しっかり積み上げていけば確実にアクセスは増えていきます。
あせらず、焦らず。SEOは“続けた人が勝つ”世界です。
SEOに強くなるには“基本の見直し”がいちばん効く
検索に強いECサイトを目指すには、まずページの土台づくりから。特別なテクニックよりも、タイトルや説明文、画像や表示スピードといった基本部分の工夫が、大きな差を生み出してくれます。
タイトルと説明文は“検索される言葉”で考える
商品や記事のタイトルには、ユーザーが実際に検索で使いそうなキーワードを自然に含めることが大切です。たとえば「かわいいハンドメイドピアス」だけでなく、「ハンドメイド ピアス ギフト 20代」など、検索されやすい具体的な言葉を意識しましょう。
meta descriptionも忘れずに
ページの説明文(meta description)は、検索結果に表示される重要な要素です。
ここにそのページの魅力や内容をわかりやすく盛り込むことで、クリック率が高まります。
- タイトル:検索意図に合った言葉を選ぶ(28〜32文字が目安)
- 説明文:120文字前後で簡潔に魅力を伝える
商品以外のコンテンツも“入り口”になる
検索で見つけてもらうためには、商品ページだけでなく読み物系のページも充実させることが効果的です。ブログ機能やコラムを活用して、ユーザーの疑問に答える記事を書くことで、検索されるキーワードの幅が広がります。
記事テーマのアイデア例(雑貨系EC)
記事のテーマ例 | 想定される検索キーワード |
---|---|
「春の引越し祝いにぴったりの雑貨特集」 | 引越し祝い 雑貨 おすすめ |
「素材で選ぶキッチン道具の選び方」 | 木製 キッチン道具 選び方 |
「プレゼントに喜ばれる包み方の工夫」 | ギフト 包装 おしゃれ |
こういったページから入ってくれたユーザーが、商品ページにも自然に誘導されていきます。
画像にも“検索される工夫”を取り入れる
画像は見た目だけでなく、検索でも役立ちます。Google画像検索やSEOに対応させるためには、画像のファイル名・alt属性をしっかり設定しましょう。
alt属性とは?
alt属性は、画像が表示されないときに代わりに表示される説明文で、検索エンジンにも内容を伝える要素です。
- OK例:
alt="ハンドメイドのレザー財布 ブラウン"
- NG例:
alt="image1234"
や空欄のまま
画像ファイル名も「product1.jpg」ではなく、「leather_wallet_brown.jpg」のように意味のある名前にすると効果的です。
ページの速さと見やすさも大事な評価ポイント
表示が遅いと離脱されやすく、SEO評価にもマイナスになります。スマホでの閲覧が主流となっている今、ページの軽さとモバイル対応は必須条件です。
確認したいポイント
- 画像サイズが重すぎないか(圧縮ツールで軽量化)
- ページの読み込み速度(PageSpeed Insightsなどで確認)
- スマホで見やすいレイアウトになっているか
- テキストやボタンが小さすぎないか
地味ですが、こうした部分がしっかりしているだけで、検索エンジンからの評価もぐっと上がります。
小さな見直しが、大きな改善につながる
SEOは細かい積み重ねがものを言います。気づいたときにチェックし直すだけでも、ぐっと効果が変わってくることがあります。
無料で使えるGoogleのツールはしっかり活用
SEO対策をする上で、Googleが提供している無料ツールはとても役立ちます。中でも**Google Search Console(サーチコンソール)**は必須とも言える存在です。
Search Consoleでできること
- どんなキーワードでアクセスされているかが見える
- クリック率や表示回数が確認できる
- エラーや問題のあるページの通知が受け取れる
他にも、Google Analyticsと併用すれば、訪問者の動きや人気ページも可視化できるので、改善のヒントがつかみやすくなります。
キーワードは定期的に見直すのがコツ
一度決めたキーワードが、ずっと効果的とは限りません。季節性のある商品やトレンドに左右されるジャンルでは、定期的に検索ワードの見直しが必要です。
見直しのヒント
- 検索ボリュームが変わっていないか(Googleトレンドで確認)
- ライバルが増えていないか
- ユーザーのニーズが変化していないか
過去に書いた記事でも、タイトルや内容をちょっと変えるだけで検索順位が上がることもあります。
“誰に何を伝えるか”をはっきりさせるだけでも変わる
SEOで忘れがちなのが、「誰に向けて書いているのか」があいまいなページです。これを意識するだけで、使う言葉や構成、タイトルの付け方が変わってきます。
たとえば、「母の日 ギフト 雑貨」で検索する人は、“家族向けでやさしい雰囲気”を求めているかもしれません。
逆に「インテリア 男性 プレゼント」で検索する人は、シンプル・実用的なものを探しているかもしれません。
誰に向けて、どんなシーンで使ってもらいたいのか。
それをはっきりさせるだけで、SEOにも伝わりやすいページが作れるようになります。
情報発信を続けたECショップに起きた変化
実際にSEO対策を地道に続けた小さなECサイトでは、アクセスや売上の面で着実な変化が表れています。ここでは、実際に成果が出た取り組みを紹介します。
検索される数は少なくても、効果はしっかり出た
ある雑貨系ECショップでは、「手作り キッチン雑貨 木製 ギフト」といった検索ボリュームの少ないロングテールキーワードに注力しました。検索回数自体は月に100件以下と少なめでしたが、そのうちの数%が購入につながり、コンバージョン率は高めに推移しました。
少ないアクセスでも成果につながった理由
- 検索意図が明確な人に届いている
- 商品ページと関連コラムの導線を意識した設計
- サイト内で複数ページを閲覧してもらえる仕組み
アクセス数のインパクトよりも、“質の高い訪問”が売上に直結したケースです。
SNS頼りからの脱却、安定したアクセスの実感
それまではInstagramやX(旧Twitter)を中心に発信していたものの、投稿が拡散しないときのアクセスは極端に落ち込み、アクセスの波が激しい状態でした。
SEO対策を始めてからは、検索流入が少しずつ増え、日々のアクセス数が安定するようになりました。
SNSと検索の違いを感じた点
項目 | SNS中心時代 | SEO対策後 |
---|---|---|
アクセスの波 | 投稿直後だけ伸びてすぐ落ちる | 毎日一定の流入が続く |
集客の継続性 | 投稿の手を止めると止まる | 放置してもある程度は維持できる |
労力 | 毎日の更新・画像作りが必要 | 週1回の更新で効果を感じた |
SNSは即効性がある一方で、SEOは“持続力”があるということが数字にも表れました。
発信することの大切さを実感
このショップでは、商品ページだけでなく、「選び方」「使い方」「プレゼントの提案」といったコラムも充実させました。コンテンツ数が増えることで、検索されるページが増え、“見つけられるチャンス”が格段に広がったのです。
継続できたポイント
- 無理なく書けるテーマで記事化
- 商品の説明ではなく、**“お客様目線の使い方提案”**が中心
- 書いたものがすぐ成果にならなくても、あきらめず更新を続けた
SEOは結果がすぐに出にくいぶん、コンテンツを育てていく感覚が必要だと気づいたとのこと。最終的には、新規集客→リピーター化まで自然な流れが作れたそうです。
無理なく続けるのがいちばんの近道
SEO対策は特別な技術が必要なものではなく、やるべきことをコツコツ積み重ねていけば、自然と結果につながっていきます。検索で見つけてもらう仕組みを整えることが、小さなECサイトにとって最大の武器になるかもしれません。焦らず、でも手を止めず。そんなスタンスで、長く愛されるお店づくりを目指してみてください。