地域の観光資源でインバウンドを呼び込む!海外観光客を動かす情報発信術

観光資源

こんにちは。株式会社ネクフルです。

地域の魅力をどう伝えるか、それがインバウンド成功のカギになります。観光資源そのものはあっても、情報発信の方法次第で、海外からの注目度は大きく変わります。この記事では、実際に成果を出している国内の事例をもとに、海外観光客に響くプロモーションのヒントをまとめました。SNSの使い方や発信の視点など、明日から試せる実践的なポイントをわかりやすくご紹介します。

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タイプ別 海外観光客の心を動かした5つの事例

地域の魅力をそのまま伝えるだけでは、海外からの反応は思うように得られません。実際に訪日観光客の関心を引いたのは、「伝え方」にひと工夫あった地域でした。ここでは、5つのタイプ別に分けて、注目を集めた施策を紹介します。

映画の舞台が“訪れる理由”になるアニメ聖地巡礼型

SNSで作品の世界観を再現する工夫
岐阜県高山市では、映画『君の名は。』の舞台として登場したスポットを中心に、英語対応のSNSで情報発信を強化。Facebookページ「Visit Hida Takayama」では、映画のシーンと現地の風景を比較した写真を投稿し、作品のファンを惹きつけました。

物語に乗せることで、地域の魅力が伝わる
単に「ここが舞台です」と伝えるだけでなく、ストーリーに入り込んだ視点で発信することで、訪問動機が生まれやすくなります。アニメや映画の世界観と地域資源が合致している場合は、大きな追い風になります。

撮りたくなる体験を作る伝統文化体験型

舞妓変身体験のビジュアル発信がカギに
京都市では、外国人観光客向けに提供されている舞妓変身体験の様子をInstagramで発信。英語のハッシュタグを活用し、視覚的な魅力が伝わる写真や動画を投稿しています。

文化の“見た目”に翻訳不要の力がある
着物、髪型、背景の町並み──写真一枚に文化の多層性が詰まっていることで、言葉が通じなくても感覚で伝わる魅力が生まれています。自分の姿が映える体験は、“参加したくなる文化”へと変わります。

食の魅力は“目で味わわせる”のが第一歩

地元食材と料理の投稿で観光意欲を刺激
和歌山県では、食品流通課が運営するInstagramで地元の食材や料理をビジュアル中心に発信。旬のフルーツや漁港の風景、地元料理のアップ写真などが並び、食の豊かさをダイレクトに伝えています。

“食べたい”は“行ってみたい”に変わる
外国人観光客にとって、料理はその土地を知る入口です。視覚での訴求とセットで「どこで食べられるか」「どんな背景があるか」までつなげると、観光導線が自然に生まれます。

四季を味方にする自然景観訴求型

四季ごとの表情を伝えた白川村の取り組み
世界遺産・白川郷を有する白川村では、春夏秋冬の風景をInstagramで継続的に投稿。特に雪景色や合掌造りの家並みが、海外ユーザーから「絵葉書のよう」と反応され、シェア拡散されています。

“その時期にしか見られない”魅力を明確に
季節感は訪日旅行の計画を立てる上での強いモチベーションになります。どの時期が最も見どころになるのかを明確にし、ビジュアルで訴えることで、自然の価値が伝わりやすくなります。

言葉の壁を越える多言語対応発信型

多言語サイトとSNSを組み合わせた高知県の施策
高知県では、「Visit Kochi Japan」という観光情報サイトを英・中・韓・タイ語で展開し、InstagramやYouTubeなどSNSとも連携。現地で迷わないように、アクセス情報や体験予約も整理されており、実際の訪問者の声にもつながっています。

外国人目線で構成された情報が選ばれる
「どこに行けば何ができるか」「どうやって行くのか」「体験の流れは?」といった細やかな情報は、外国人観光客の安心感につながります。言語だけでなく“目線”を変えることが効果的です。

魅力があるのに来てもらえないと感じたら

どんなに魅力ある観光資源でも、伝え方を間違えると、海外からはまったく見えてこない存在になってしまいます。届かない理由を冷静に見直してみることが、次の一手を生むヒントになります。

“そこにある”だけでは伝わらない理由

よくある観光資源に見えてしまう落とし穴
地元の人にとっては当たり前で特別感のないものでも、外から見ると新鮮だったりします。ただし、それを伝える工夫がなければ、「どこにでもあるもの」として見過ごされてしまいます。

ビジュアル化・ストーリー化がカギ
特徴を伝えるには、文字情報よりも写真や動画、そして背景にある物語を添える工夫が効果的です。「なぜここにしかないのか?」という問いに対する答えを、発信の中に織り込んでおくことが大切です。

存在しているのに見つけてもらえない現実

認知されなければ、存在しないのと同じ
検索されなければ、たとえ良質な観光資源でも届きません。SNSや検索エンジン、観光情報サイトなど、どこかに「載っている」状態が必要です。

情報の入り口が用意されているかを確認する
英語名が存在しない、写真が見つからない、地図に出てこない──そんな状態では、海外観光客は訪れようがありません。まずは「見つかる導線」があるかを見直すことが第一歩になります。

海外観光客に届かない理由を見直してみる

魅力があるはずなのに、海外からの反応がいまひとつ。そんなときは「何を伝えているか」ではなく「どう伝えているか」に原因があるのかもしれません。発信側の思いと、受け取る側の感覚のズレが、すれ違いのもとになっていることがあります。

良いと思うものが“刺さる”とは限らない

発信者の主観と受信者の関心が食い違うことがある
地域の人にとっては誇らしい伝統行事や神社仏閣も、海外観光客にとっては「違いがよくわからない」と感じられる場合があります。良さを理解してもらうには、その背景や価値を丁寧に伝える工夫が必要です。

文化や常識の“前提”が異なる視点に立つ
たとえば「当たり前の作法」「当然のルール」が海外から見るとまったく新鮮だったり、逆に戸惑いのもとになったりすることもあります。どう感じるか、どこに目が行くかは、文化的背景によって大きく異なります。

“感覚で伝わる部分”を強く打ち出すのも手
音や光、衣装、建築様式などは、説明がなくても印象を残しやすい要素です。言葉だけでなく、写真や動画で直感的に伝えることが、理解の手助けになります。

翻訳だけでは埋まらない言語と文脈のギャップ

単語は正しくても“伝わらない”文章になることがある
直訳された観光案内では、現地の人に通じる表現がうまく機能しないことがあります。たとえば「情緒あふれる通り」や「風情ある宿」といった日本語独自のニュアンスは、英語にそのまま置き換えると意味がぼやけてしまうことがあります。

文化的文脈を踏まえた表現に変える工夫
「風情ある宿」を “traditional inn with a quiet, nostalgic atmosphere” と言い換えると、外国人にもイメージが伝わりやすくなります。翻訳というより、言い換えと説明の技術が求められます。

映像や写真で補足すれば、伝わり方は格段に変わる
言葉での説明が難しいものほど、ビジュアルで補完する価値があります。五感に訴える素材があると、理解のハードルが下がります。

効果が出た地域には共通点がある

上手に発信できている地域は、どこか特別な観光資源を持っているわけではありません。伝え方と設計の工夫がしっかりしているからこそ、海外観光客の行動につながっているのです。

SNSを活かした“行動導線”ができている

情報に出会ったあと、すぐ次の行動に移せるかがカギ
観光地の投稿を見て「行ってみたい」と思った人が、すぐにアクセス方法や場所を調べられるようになっているかどうか。SNSから公式サイトへの導線が整っているだけでも、行動への転換率は変わります。

ストーリーズやリールで現地感をリアルに伝える
静止画だけでなく、臨場感のある短い動画が行動の背中を押します。動画の中で「ここまで電車で何分」などの情報を出しておくと、旅行のイメージが具体化します。

共感のあるストーリーが旅のきっかけになる

体験談や人のストーリーが心を動かす
「地元の家族が何世代にもわたって守ってきたお祭り」や「昔ながらの製法で作られた伝統工芸」など、そこに人の物語があると、海外の人にも親近感が生まれやすくなります。

なぜこの文化が残っているのかを伝える
背景にある歴史や地域性をさらっと添えることで、文化が“今も続いている理由”が伝わります。「昔からある」だけでなく、「今どうしているか」がわかると、観光客の興味は深まります。

“あなたの目で確かめに来て”という余白も大事
すべてを説明しすぎず、体験の一部を見せることで、訪問の動機につながります。ストーリーの続きは現地で、という構成が想像を刺激します。

続けられない理由は「やり方の問題」かもしれない

情報発信は、スタートするのは簡単でも、続けるのが難しいという声をよく聞きます。その背景にはリソースの問題だけでなく、成果が実感できないもどかしさがあります。ここでは、続けやすくするための視点と、よくあるつまずきを整理します。

継続が難しくなるのは“人”と“成果”のバランス

担当者が少ない、兼務が当たり前の現場
地域の観光プロモーションを担う部署や団体では、発信に専任できる人がいないことも少なくありません。SNSの更新や写真撮影、イベントの記録も、片手間でこなしているケースが多く見られます。

更新作業が“義務”になってしまうと続かない
「週1回は投稿しなきゃ」といった義務感だけで進めていると、徐々にモチベーションが落ちていきます。投稿が評価されたり、誰かと共有される喜びがないと、発信する側の熱も続きません。

数字の変化が見えにくいと手応えがなくなる
観光プロモーションは、発信したからといってすぐに訪問者が増えるわけではありません。時間をかけて効果が出るものなので、短期間では結果が見えづらく、途中で「意味あるのかな?」という気持ちになることもあります。

コンテンツが一回きりで終わってしまう問題

単発イベント頼みの発信では続かない
よくあるのが、イベント時期だけ急に更新が活発になり、その後放置されてしまうケースです。イベント以外にも日常の風景や準備の様子など、継続できるネタを仕込んでおく工夫が必要です。

発信の目的が明確でないとネタに困る
「何を伝えたいのか」がぼんやりしていると、投稿内容に一貫性がなくなり、見ている側にも届きにくくなります。あらかじめテーマをいくつか用意し、曜日や月ごとに分けておくと、発信の習慣化がしやすくなります。

無理せず始められる、情報発信の入り口

頑張らなくても始められるツールはたくさんあります。大切なのは、いきなり完璧を目指すのではなく、できる範囲で確実に続ける仕組みを作ることです。

SNSを使うなら、この3つだけ押さえておけばOK

Instagram:写真と短文で魅せるのが得意
視覚で訴える力が強く、自然や食、街並みなど、被写体が豊富な観光分野と相性抜群です。ハッシュタグを活用すれば、言語を問わず海外ユーザーにもリーチしやすくなります。

YouTube:体験の流れや雰囲気を“伝わる映像”で
長尺で丁寧に紹介できるため、観光ルートや体験の様子、アクセス情報の解説にも向いています。外国語字幕を付けておけば、海外ユーザーの理解も深まります。

Facebook:信頼性と多言語対応のしやすさが魅力
海外の観光客にとっては公式情報の受け皿として活用されることが多いSNSです。投稿にURLを添付できるので、公式サイトや予約ページとの導線づくりにも向いています。

ツール向いている発信内容特徴
Instagram写真・イベント紹介・日常の風景拡散力があり、気軽に投稿しやすい
YouTube観光体験の紹介・移動手段の説明滞在時間が長く、雰囲気が伝わりやすい
Facebookイベント情報・公式告知・リンク誘導情報の信頼性が高く、多言語対応がしやすい

自治体や観光団体が始めやすい施策の組み立て方

まずは投稿用の“型”をいくつか用意する
「今週の一枚」「食の紹介」「観光豆知識」といった投稿パターンを事前に設定しておくと、毎回ゼロから考えなくて済みます。曜日や曜日固定投稿にするのもおすすめです。

小規模でもいいので定点観測的に続けてみる
同じスポットを月1回ペースで撮影し、季節の移ろいやイベントごとの表情を記録していくだけでも十分です。継続すれば「変化の物語」として価値が生まれます。

地域の人を巻き込めば、投稿ネタは尽きない
地元の商店街や職人さん、地域おこし協力隊など、地域に関わる人の言葉や日常をシェアするスタイルも、継続しやすく反応を得やすいスタイルです。インタビューやコメント付き投稿などに展開できます。

投稿だけに頼らない“仕掛け”も用意しておく
例えばフォトスポットの設置や、特定のハッシュタグをつけてもらう参加型企画など、SNS上だけで完結しない施策を組み合わせることで、実地での行動とも連動しやすくなります。

発信を始める前に見直したい3つの設計ポイント

せっかく時間と労力をかけて発信するなら、ちゃんと届く形に整えておくことが大切です。なんとなく発信するのではなく、届けたい相手や内容、伝え方をきちんと整理しておくだけで、成果の出やすさは格段に変わります。

伝える相手、伝える内容、伝え方を明確にする

誰に届けたいのかを具体的に設定する
「海外観光客」とひとまとめにせず、アジア圏のリピーター層か、欧米の初訪問層か、といったようにターゲットを細かく設定するだけでも、言葉の選び方や写真の雰囲気が自然と変わってきます。

たとえばこんな分け方が考えられます

属性具体例
出身地域欧米圏、アジア圏、中東など
旅行目的文化体験、自然散策、食、アニメ聖地など
滞在スタイル個人旅行、ファミリー、カップル、団体旅行
情報収集手段Instagram、YouTube、検索エンジンなど

何を届けたいかを絞って深く伝える
魅力を全部詰め込もうとすると、結局何も印象に残りません。たとえば「伝統工芸の職人と一緒に作れる体験」や「地元のお母さんが教える郷土料理教室」など、ひとつの価値にフォーカスして伝えるほうが、共感や関心につながります。

どう伝えるかを“相手の行動”から逆算する
たとえばInstagramで外国人ユーザーにリーチしたいなら、ハッシュタグに英語や現地語を組み込み、投稿時間を相手のタイムゾーンに合わせるといった工夫が必要です。「見てほしい人が、どんなときに、どんなデバイスで見るか?」を想像するだけでも、設計が変わってきます。

多言語対応は“翻訳”ではなく“伝わる設計”が大切

機械翻訳では限界がある理由
最近では自動翻訳も精度が上がっていますが、観光地のニュアンスや慣用句がうまく訳されないことはまだまだ多くあります。「風情」や「おもてなし」など、日本文化特有の表現は、直訳では魅力が伝わりにくいのが現実です。

伝わる文章を最初から意識して作る
“翻訳前提”で文章を作ることも重要です。たとえば「この町は風情があります」ではなく「昔ながらの木造の家が並び、静かな雰囲気が漂う町並み」と具体的に書いておくと、どの言語でもイメージが伝わりやすくなります。

外注すべき部分と自前でできる部分の見極め方

対応内容外注がおすすめ自前でも対応可能
多言語サイト制作△(テンプレート活用で対応可)
翻訳(パンフ・公式文書)△(ツールとの併用が必要)
SNS投稿用キャプション○(重要投稿のみ)◎(簡単な投稿は自作でOK)
Google翻訳の活用×(そのままは危険)○(下書きやチェック用途に)

“伝わらない”が誤解を生むリスクもある
情報の不足や不自然な翻訳が、誤解やトラブルのもとになるケースもあります。特にアクセス方法、注意点、キャンセル条件などは正確に伝えるべきポイント。言語数を無理に増やすより、主要言語でしっかり内容を伝えるほうが信頼につながります。

観光資源は“伝え方”で生まれ変わる

いいものがあるのに伝わらない──そんなもどかしさは、工夫次第で変えられます。大切なのは、誰に何をどう伝えるかを考え抜くこと。そして、続けられる仕組みをつくること。観光資源は、発信されて初めて価値を持ちます。最初の一歩は小さくてかまいません。届く形で、続けること。そこからすべてが動き始めます。

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