沖縄のやんばるの森に生まれたテーマパーク「ジャングリア沖縄」。その特徴は、地元企業の出資で成り立つ“地域発”の観光資源であることです。外から持ち込まれるのではなく、自分たちの手で観光を育てる──そんな新しい動きが各地で広がっています。今回は、ジャングリアの取り組みを手がかりに、地元企業と観光がどう手を取り合って発展していけるのかを探っていきます。
地元が出資する観光資源──“よそ任せ”から抜け出す時がきた
地域の魅力を活かす観光事業は、外部企業の投資で始まることが多いものの、地元が主体になると景色が大きく変わります。ここでは「なぜ地元が出資する観光資源づくりが注目されているのか」を、シンプルに整理してみましょう。
地域観光の“受け身”が抱える限界
観光施設の建設や大型リゾート開発は、どうしても外部の資本に頼りがちです。確かにスピードは速く、規模も大きくなりますが、地元に残る経済効果は限定的です。
外から来た企業が運営を担えば、利益の多くは地域外へ流出してしまう。地元企業が関われないまま、観光の形だけが整ってしまう。そんな状況では、地域に「観光を自分ごととして考える力」が育ちません。
観光の継続には“地元の関係人口”が不可欠
地元企業や団体、住民が直接関わることで、観光資源は“育てる対象”へと変わります。地域の食材を使った商品開発、地元ガイドによる体験プラン、地元金融機関のサポートなど、経済の循環が広がります。観光をきっかけに地域の関係が強まり、「地元で回る経済」が少しずつ形になります。
数字で見る地域経済の循環効果
観光庁の「観光地域経済分析システム(RESAS)」によると、観光消費1万円が地元経済に再投資される比率(地域内乗数)は平均1.4。つまり、1万円の観光支出が1.4万円分の経済効果を生みます。地元企業が運営主体になるほど、この比率は高まりやすく、地域の中でお金が回る仕組みができるのです。
地元資本が動くと何が変わるのか
地元企業が出資に関わる最大の意味は、“経済”だけではありません。
地元が意思を持って関与することの強さ
自分たちの資金が使われているという意識は、プロジェクトへの責任感と当事者意識を自然と生みます。外部企業の「施策」ではなく、地域全体の「挑戦」へと変わるのです。
地元に根ざした決定とスピード
観光事業は、環境や季節、文化など現場の知見が欠かせません。地元企業が参画することで、現場の声を直接反映した意思決定ができるようになります。たとえば、観光施設の運営においても、地元の食材を使う飲食店や、地域行事との連携など、細やかな企画調整がしやすくなります。
信頼が新しい協力を生む
地域内で信頼関係が築かれれば、行政・企業・住民が協働しやすくなります。結果として、出資だけでなく、寄付・ボランティア・地域連携イベントなど、次の動きが自然に生まれやすくなります。
ジャングリアの挑戦が示した、地域主導の新しい形
沖縄本島北部・今帰仁村に誕生した「ジャングリア沖縄」は、地元資本を軸にした観光プロジェクトとして注目を集めました。テーマパークの誕生が単なる娯楽施設ではなく、地域経済の“起点”になる。その構造を見ていきましょう。
やんばるの森に誕生した“地元出資型テーマパーク”
ジャングリア沖縄は、約60ヘクタールの敷地にアトラクションや体験エリアを備えた大型テーマパークです。特徴的なのは、資金の一部を沖縄県内の企業が出資している点です。観光産業を「外から持ち込む」ではなく、「地元で作る」発想からスタートしました。
地元企業が関わると企画が変わる
地元企業の視点が入ると、設計段階から「地域らしさ」を意識した開発が進みます。たとえば、施設内の飲食やショップで地元食材や工芸を扱うこと、周辺宿泊施設との連携を組み込むこと。地元の事業者が直接恩恵を受ける仕組みが最初から組み込まれるのです。
県内就業にも波及する雇用効果
沖縄総合事務局の推計によると、観光関連産業の雇用誘発係数は全国平均より高く、1億円の観光消費が約16人分の雇用を生みます。ジャングリアのような地元発プロジェクトでは、その雇用が地域に還元されやすく、若年層の定着やUターン促進にもつながります。
「地元でつくる観光地」が意味すること
ジャングリアのモデルが示したのは、「観光資源は所有物ではなく、共有資産である」という考え方です。地元が関与すれば、観光の主導権は地域に残ります。
観光を「持続的に回す」ための共創モデル
地域の事業者が協力してリスクを分担することで、長期的な維持運営が可能になります。地元金融機関が融資を支え、企業が事業運営を担い、自治体が環境整備を行う──この三者の連携が観光資源を安定して育てる基盤になります。
地域ブランドを磨く力になる
外部が作った施設は“観光地”としての色が薄くなりがちですが、地元が作れば「その土地らしさ」が自然とにじみ出ます。観光資源を通じて、地域の文化・自然・人の魅力がストーリーとして伝わり、ブランドとしての価値が積み重なっていきます。
数字では測れない価値を積み重ねる
観光庁の地域観光戦略では「観光を通じた地域の誇りづくり」が重視されています。出資による関与は、その“誇り”を形にする最も分かりやすい方法の一つです。観光資源を地域の手で生み出す過程そのものが、地域の文化を次世代へ受け継ぐ力になっています。
出資で生まれるのはお金以上の「信頼」と「つながり」
お金を集めるだけが出資の目的ではありません。地元の人たちが資金を出し合い、観光資源を育てるプロセスには、人や企業をつなぐ“目に見えない価値”が生まれます。そこには信頼の輪、協力の意識、そして地域全体の絆が育つ土壌があります。
観光資源を“共通の資産”にする力
観光施設や体験事業が“みんなの資産”として運営されると、地域全体がその成果を共有できます。
出資により、観光資源が「誰かのもの」ではなく「みんなで守り、育てるもの」に変わります。
協力の構図が地域を強くする
観光事業が一企業の取り組みではなく、複数の地元企業や団体によって支えられていると、安定性が生まれます。地元商工会、観光協会、飲食事業者などが力を合わせることで、集客の波に左右されにくい基盤を築けます。
数字で見える地域の連携効果
観光庁の「観光地域経済分析」によると、地域内での事業者連携が強い地域ほど、観光収益の再投資率が高くなる傾向があります。つまり、地元が出資して経営に関わるほど、地域の中で利益が循環しやすくなるのです。
地元ならではの意思決定が可能に
たとえば、季節イベントや地域祭りと連動したキャンペーンなど、地元ならではの柔軟な判断がしやすくなります。遠くの本社の承認を待たずに、地域に合わせた対応ができる点は、地元出資型の大きな強みです。
地域ブランドを底上げする副次的効果
地元企業が出資に関わると、観光事業そのものが地域のブランド価値を引き上げます。経済的効果だけでなく、「地域の一体感」がブランドそのものを形成します。
“関わる人”がブランドの語り手になる
観光資源に出資した企業や個人が、自然と地域の“語り手”になります。SNSでの発信や地域イベントでの協賛など、直接的な広報活動以上に、地元の熱意が外へ伝わります。
地域ブランドと観光資源の関係
| 項目 | 外部資本型 | 地元出資型 |
|---|---|---|
| 企画・運営の主導 | 外部企業 | 地元企業・団体 |
| 地域還元率 | 低い | 高い |
| ブランド浸透力 | 限定的 | 広がりやすい |
| 維持・継続性 | 外部依存 | 地域主体で持続可能 |
観光が「地元の顔」になる
たとえば、地元のクラフト品や特産品が観光施設に並ぶだけで、その地域の“顔”が見えるようになります。観光客が買う商品がそのまま地域のストーリーを伝える。出資が地域ブランドの“媒介”になっていくのです。
どう集め、どう動かす? 地元出資を成功に導く仕組み
「地元で観光資源を育てたい」と思っても、資金や組織づくりには工夫が必要です。出資を成功させるには、信頼を積み重ね、関係者が長く関われる仕組みを整えることが欠かせません。
信頼される構想づくりがすべての出発点
“誰のために何を実現したいのか”を明確にする
出資を募る前に、まず必要なのは共通のビジョンづくりです。「地域にどんな価値を残したいのか」を、数字より先に言葉で共有すること。目先の収益ではなく、観光資源としての社会的価値を伝えることで、共感が生まれます。
透明性のある計画で信頼を積み上げる
資金の使途や運営体制、リターンの仕組みを明確にすることで、出資への心理的ハードルが下がります。地元の金融機関や自治体を巻き込み、監査・報告体制を整えることも大切です。
情報共有の継続が信頼を育てる
説明会やオンライン報告会を定期的に行い、進捗をオープンにすることで、出資者との距離が縮まります。こうした積み重ねが、プロジェクト全体の安心感につながります。
地元企業の参加を促す仕組み設計
「関わり方を選べる」ことが継続のカギ
すべての企業が大きな資金を出せるわけではありません。少額出資や協賛型、労務提供型など、関わり方の選択肢を広げると参加しやすくなります。
小さな成功体験を共有する
最初から大きなプロジェクトを目指すよりも、地域内で小規模な取り組みを成功させ、実績を共有する方が信頼を積み重ねやすくなります。たとえば、観光案内所の共同運営や地域マップ制作など、低リスクの協働から始める方法も有効です。
地域金融機関との連携が後押しになる
地元銀行や信用金庫が関わると、資金面の不安が減るだけでなく、地域の信用が増します。地元金融が橋渡し役となり、複数の企業をまとめることで、プロジェクト全体の信頼感が増します。
行政・金融・民間のバランスが鍵
行政の支援が土台を整える
行政は補助金や制度支援を通じてプロジェクトの初期段階を支えます。観光庁の「地域一体となった観光地の再生・観光サービスの高付加価値化事業」などを活用すれば、設備投資やPR費用の一部を補助できる場合があります。
民間の柔軟さでスピードを出す
一方、民間企業が主導する部分ではスピード感が求められます。企画立案、商品開発、SNS発信など、地域のリアルな声を生かせる領域を民間が担うと、プロジェクトが動きやすくなります。
三者連携の構図を整理しておく
| 役割 | 主な役目 | メリット |
|---|---|---|
| 行政 | インフラ整備・制度支援 | 安定性と公的信頼 |
| 金融機関 | 資金流通・信用補完 | 資金の安全性と透明性 |
| 民間企業 | 企画・運営・発信 | 柔軟性と現場力 |
この3者がバランスよく関わることで、観光資源づくりのリスクは分散され、地域全体で支え合う仕組みが完成します。
成功するプロジェクトに共通する3つのキーワード
地域で始まった観光プロジェクトを長く続けるには、資金や仕組みだけでは足りません。人の心を動かす物語や、信頼を積み重ねる姿勢、そして変化を受け入れる柔軟さが必要です。ここでは、成功している地域に共通する3つのキーワードを紹介します。
「共感」──地域の物語に心を動かす
数字ではなく“想い”を伝えることが出発点
観光プロジェクトの参加者を増やすには、売上や来訪者数よりも、「なぜこの地域でやるのか」という物語を共有することが大切です。地元の人が共感すれば、自然と応援の輪が広がり、外部からの協力も集まりやすくなります。
地域に根づくストーリーを可視化する
たとえば、古い建物を再生してカフェにする、地域の伝統行事を体験コンテンツに変えるなど、地元ならではの“物語”を見せることで、訪れる人にも想いが伝わります。観光資源を通じて「地域がどんな思いでこの場所を守っているのか」を感じてもらうことが、結果的にリピーターや支援者を増やすきっかけになります。
共感を育てる発信の工夫
SNS投稿や地域サイトの文章でも、理念を語るよりも“人”を見せる方が伝わりやすくなります。実際に現場で関わるスタッフや生産者の声を届けることで、観光資源が生きたストーリーとして印象に残ります。
「透明性」──信頼を積み上げる情報発信
オープンな姿勢が信頼を呼ぶ
地元出資型プロジェクトでは、資金の使い方や進捗を透明にすることが重要です。定期的に報告会を開いたり、収支を簡単な図表で示したりするだけでも、安心感は格段に上がります。
見える化の方法を工夫する
出資金の用途を公開する際は、専門的な資料よりも誰でも理解できる言葉で説明することが効果的です。たとえば次のように、シンプルな表で示すと参加者に伝わりやすくなります。
| 項目 | 使途の例 | 効果 |
|---|---|---|
| 設備投資 | 施設整備・安全対策 | 来訪者満足度の向上 |
| 地元連携費 | 商店・農家との協業 | 地域経済の循環 |
| 広報・PR費 | SNS・パンフレット制作 | 情報発信の強化 |
情報発信の“頻度”が信頼を作る
一度の説明ではなく、定期的に状況を知らせることが重要です。メールマガジンやSNS更新など、小さくても継続的な発信が「誠実に進んでいる」という信頼感につながります。
「柔軟性」──時代に合わせて変化する勇気
環境の変化を受け止めて進化する
観光資源は、自然環境や人の流れ、技術の進歩に影響を受けやすいものです。柔軟に対応できる運営体制を作っておくと、どんな変化にも前向きに対応できます。
仕組みを変えることを恐れない
たとえば、紙チケットをデジタル化して販売したり、オンライン体験やライブ配信を取り入れたりするなど、時代の流れに合わせた更新を続けることが大切です。地元企業や若い世代の知恵を取り入れることで、新しい風を地域に吹き込めます。
変化をチャンスに変える視点
環境の変化は脅威ではなく、チャンスにもなります。地元の素材を使った新しい体験メニューを作る、季節ごとのテーマイベントを展開するなど、小さな変化を積み重ねることが持続につながります。
自分たちで観光を動かす地域の成功例は他にも
実際に、地元企業や住民が中心になって観光資源を育てている地域は全国にあります。ここでは、今も活動を続ける国内の事例をいくつか見ていきます。
地元企業が中心となって再生した観光拠点の例
商店街の再生をきっかけにした観光誘致
ある地方都市では、地元商店街が合同会社を立ち上げ、空き店舗をリノベーションして観光拠点に再生しました。企業が資金を出し、運営を商店街メンバーが担うことで、地元らしさを活かした新しい商業エリアとして注目を集めています。
観光と雇用を両立させる仕組み
別の地域では、地元建設会社や飲食業者が出資して、地域資源を活かした体験型観光施設を共同運営しています。雇用が地元に生まれ、地域内の経済循環が加速。出資が単なる投資ではなく、「地域の未来への参加」になっています。
地域金融が支える継続運営
地方銀行や信用金庫が出資に関わるケースも増え、融資だけでなく経営面の支援も行うスタイルが一般化しています。地元金融機関が関与することで、経営の健全性が保たれ、長期的な視点で事業を続けやすくなっています。
観光資源を“守る”視点からの取り組み
自然と共存する観光づくり
環境保全団体と地域企業が連携し、観光客の受け入れ数を調整しながら自然体験を提供する取り組みがあります。入場料の一部を保全活動に還元するなど、観光と環境の両立を実現しています。
文化を継ぐ観光モデル
伝統工芸や地域行事を観光体験に変えるプロジェクトも進んでいます。職人や地元団体が出資し、後継者の育成やブランド化を目指す取り組みは、観光を通じて文化を次世代につなぐ力となっています。
地元の誇りを形にする連携
地域住民が出資して観光案内所や小さなミュージアムを運営するケースもあります。観光客に地域の歴史や人の物語を伝える場が生まれることで、観光資源そのものが地域の誇りとなり、住民のモチベーションも高まります。
このように、地元が主体となる観光は「稼ぐ仕組み」であると同時に、「誇りを守る仕組み」でもあります。信頼・透明性・柔軟性という3つの視点が、地域に息の長い観光文化を育てています。
理想だけでは進まない──リスクを見据えた現実対応を
地元出資型の観光事業は理想的に聞こえますが、実際には慎重な計画と現実的な判断が欠かせません。資金面や意思決定の課題をどう乗り越えるか。ここでは、現場で起こりやすいリスクと、その向き合い方を整理します。
資金リスクと長期回収の課題
“すぐに成果が出ない”ことを前提に動く
観光事業の収益は短期では見えにくく、初期投資の回収には時間がかかります。特に施設型の観光資源は、建設費や維持費に加え、季節変動や天候の影響も受けやすいため、安定した収益構造を作るまでに数年を要します。
観光庁のデータによると、地方の観光施設の黒字転換までの平均期間は約5〜7年とされています。長期戦を前提に、余裕を持った資金計画を立てることが現実的です。
収益だけでなく“地域の価値”を回収する
経済的リターンだけを目的にすると、途中で意欲が下がることもあります。観光資源を通じて得られる「地域ブランドの向上」や「雇用の創出」など、数値化できない価値も投資の成果と捉える視点が大切です。
長期的な目線で見れば、地元出資型プロジェクトの“回収”は、お金ではなく地域の誇りや関係性として戻ってきます。
複数の資金源を組み合わせる柔軟さ
出資だけに頼らず、クラウドファンディングや補助金、ふるさと納税制度を組み合わせることで、負担を分散できます。たとえば、地域内で少額の協力金を集めつつ、行政の交付金で初期費用をカバーするなど、リスクを抑えた仕組みづくりが効果的です。
合意形成と意思決定の難しさ
意見が多いほど、方向性がぶれやすい
地元出資型のプロジェクトでは、関わる人が多いほど意思決定に時間がかかります。商工会、自治体、金融機関、地元企業…それぞれ立場や優先順位が異なるため、合意を取るだけで数か月単位の調整が必要になることもあります。
判断を早めるための“共通ルール”を作る
意思決定を円滑に進めるためには、プロジェクトの初期段階で「決め方のルール」を明確にしておくことが重要です。たとえば、以下のような仕組みを整えるとトラブルを防ぎやすくなります。
| 課題 | 解決策の例 | 効果 |
|---|---|---|
| 決定が遅れる | 代表企業を1社選定して調整窓口にする | 連絡・判断が迅速に進む |
| 責任が曖昧になる | 出資比率に応じた責任範囲を明文化 | 不公平感の軽減 |
| 方向性がぶれる | 年2回の合同レビュー会を設定 | 長期的な軌道修正が可能 |
合意形成を支える“聞く姿勢”
会議や説明会では、意見を出す場だけでなく「聞く場」を設けることも大切です。参加者全員の思いを共有することで、異なる立場の人が納得しやすくなります。時間をかけてでも、信頼関係を積み上げることが、結果的にスムーズな運営を支えます。
地元の意思がある限り、観光資源は育っていく
観光資源は、完成した瞬間がゴールではありません。人の思いや努力を受け継ぎながら、地域の手で少しずつ形を変えていくものです。ここでは、観光を“育てる”という発想と、そこに込められたメッセージを見つめ直します。
“育てる観光”という新しい姿勢を持とう
観光を“事業”ではなく“文化”として考える
観光資源は、地域の自然や暮らし、歴史を背景に生まれます。だからこそ、単なる収益事業としてではなく、地域文化を伝える活動として続けていく視点が大切です。地域住民が自らの文化や風習を誇りに感じ、それを外へ発信する。その積み重ねが観光の持続力になります。
“続ける仕組み”を意識する
観光事業を維持するには、収益と運営のバランスが必要です。地元企業や自治体、観光協会などが定期的に話し合い、改善や更新を重ねていくことで、変化に強い仕組みを保てます。小さな修正を重ねながら、地域全体で事業を支える意識が欠かせません。
観光を通じて地域の未来を描く
観光は単なる訪問体験ではなく、地域の未来を形づくる手段でもあります。観光客が増えることが目的ではなく、地域の暮らしが豊かになることを目指す。その姿勢が“育てる観光”の根本にあります。
ジャングリアが残したメッセージ
地域が動けば、観光も動く
ジャングリア沖縄のように、地元企業が資本を出し合い、県内で企画・運営を進めた例は、観光資源を「地元で育てる」モデルの象徴です。プロジェクトを通して見えたのは、地元の意思と連携があれば、外部資本に頼らず観光を成長させられるという現実です。
共創が地域の誇りを生む
地元が手を取り合って一つの観光施設を育てることで、そこに関わるすべての人が“つくり手”になります。その結果、観光が「誰かの事業」ではなく「地域の文化」になります。観光資源を支えるのは資金ではなく、人の思いと信頼です。
観光の未来は地域の手にある
観光資源は、地域が意思を持ち続ける限り成長します。出資の仕組みも、施設も、観光体験も、すべては“人”の継続によって動き続けます。ジャングリアが示したのは、地元の力があれば、観光は何度でも新しく生まれ変われるということです。



